「プロップ業者は、合格者に支払う出金の原資をどこから得ているのか」。これは、業界の根本的な仕組みを理解するうえで核心となる問いです。本ガイドでは、業者の5つの収益源と、出金プールの計算を整理します。
5つの収益源
1. 評価料(一回限り)
FX/CFD プロップの主な収益源です。金額は $19〜$1,000 で、最も多い価格帯は $50〜$200。一度払えば評価期間中は追加費用がかからない(または期間を延長できる)のが一般的です。
該当するのは FTMO、FundedNext、FundingPips、The5%ers、Alpha Capital、Audacity Capital などです。
2. 月額サブスクリプション
先物プロップの主な収益源です。評価がアクティブな間、月額を払い続けます。相場は $25〜$300/月で、最も多いのは $99〜$150 です。
該当するのは Topstep、Apex、TradeDay、MyFundedFutures、Take Profit Trader などです。
3. リセット料
評価でルール違反をした後、最初からやり直すための料金です。$30〜$150 で、典型的には元の評価料の 50〜80%。不合格になったトレーダーから追加の収入を生む仕組みです。
4. アドオン
評価料に上乗せして追加機能を買う選択肢です。利益分配率を 80% から 100% へ引き上げる($50〜$150)、リセット権を付ける($30〜$80)、最大DDを緩和する、ニュース取引を許可する、といった例があります。アドオンは原則として利益率の高い商品です。
5. 失効した評価のレベニューシェア
合格しないまま評価期間を終えたトレーダーの料金は、そのまま業者の利益になります。合格率が 5〜15% ということは、評価料の 85〜95% が業者の手元に残る計算です。
出金プールの計算
業者は内部で「出金プール」を運営しています。すべての評価料収入がプールに入り、合格者への出金がプールから出ていく構造です。
簡単なモデルで考えてみます。ある業者の評価販売が月 1,000 回、平均評価料 $100、合格率 10%、合格者の平均月次出金 $1,500 だとします。
- 月の収入:1,000 × $100 = $100,000
- 月の出金:100 × $1,500 = $150,000(合格者全員が毎月最大まで出金した場合の最悪値)
この計算のままでは出金プールは赤字です。ただし現実には、次の要素が効いてきます。
- 合格者の全員が毎月出金するわけではない(平均すると定期的に出金するのは 30〜60%)
- 多くの合格者は数か月で離脱する(平均出金回数は 3〜5回)
- アドオンやリセット料が追加収入を生む
これらを織り込むと、規模の経済が効く業者なら出金プールを黒字で運営できます。裏を返せば、規模が足りない業者(評価販売が月 100 回未満)の出金プールは、構造的に赤字へ傾きやすいということです。
規模が足りない業者の末路
新規参入したものの評価販売数が伸びない業者は、おおむね次の3つのパターンで閉鎖に至ります。
- キャッシュフロー破綻:評価料収入で出金プールを維持できず、新規の評価料を出金に回す自転車操業に陥り、規制執行や評判悪化をきっかけに資金が枯渇して閉鎖するパターン
- 遡及的ルール変更:既存口座のルールを後から変えて出金を抑え、評判を落として撤退するパターン(FundingTicks 型)
- 静かな撤退:規制リスクが顕在化する前にビジネスを畳むパターン(Stocknet Institute 型)
閉鎖トラッカーに載った 80社超のほとんどが、この3パターンのいずれかに当てはまります。
合格率と支払いの相互制約
「合格率 5〜15%」という水準は、業者が意図的に管理している数字です。理由は単純です。
- 合格率が 30% を超えると、出金プールが赤字になり業者は倒産します
- 合格率が 5% を下回ると、トレーダーが集まらず評価料収入が不足します
主要な老舗業者(FTMO、FundedNext、FundingPips、The5%ers、Apex、Topstep)の合格率が 5〜15% に収束しているのは、複数のマーケットサイクルを通じて「業者が持続的に支払えて、トレーダーも集まる」均衡点だと確かめられてきたからです。
詳しくは合格率の統計で解説しています。
ビジネスモデルから読む業者の信頼性
業者選びでビジネスモデルを評価する際は、次の3つの軸で見ます。
- 規模:Trustpilot のレビュー件数が 5,000 件以上あり、月の評価販売数が十分にあるか
- 収益源の多様化:評価料一本ではなく、サブスク・アドオン・リセット料を組み合わせているか
- 過去の数字の整合性:公開されている支払い額と、推定収入(規模 × 平均料金)のつじつまが合うか
たとえば E8 の累計 $74M+ の支払いは、2021年からの規模と評価料体系に照らして整合的です。FundingTicks の $220M+ の支払いも、2025年末まで持続的に運営できていた事実と矛盾しません。
規模・収益の多様化・数字の整合性の3点でビジネスモデルが持続可能と判断できる業者を選ぶことが、出金リスクを下げる最も確かなアプローチです。
本ページは情報提供であり、投資助言ではありません。