本記事は一般的な情報の整理であり、税務上の助言ではありません。個別の判断は所轄の税務署または税理士にご確認ください。

まず結論

要点を先に整理します。

  • 日本居住者がプロップファームから受け取る報酬は、申告の対象になります。業者が書類を出さないことと、申告義務があることは別の話です。
  • 所得区分は雑所得として申告される例が多いとされますが、国税庁がプロップファームの報酬について所得区分を個別に示した公表資料は確認できません。帳簿を備えた継続的な業務であれば事業所得となる余地があります。
  • 雑所得と事業所得の差は、損益通算・純損失の繰越・青色申告特別控除の3点に集約されます。ここが手取りに最も大きく影響します。
  • 給与所得者は、給与所得と退職所得を除く所得の合計が20万円を超えると所得税の確定申告が必要です。
  • チャレンジ費用の経費性、法人口座での受取、消費税の3点は、公表された取扱いが確認できない領域です。本記事では結論を断定せず、どこまでが確認できてどこからが不明かを分けて書きます。

前提: 報酬は「投資の利益」ではなく「役務の対価」として案内されている

税金の話に入る前に、報酬の性質を押さえておく必要があります。ここが所得区分・経費・消費税のすべての出発点になります。

自分の口座で自分の資金を運用して得た利益であれば、その所得は運用益として整理されます。プロップファームは構造が違います。資金は自分のものではなく、多くの場合はデモ環境またはシミュレーション環境での取引です。受け取るのは、業者に対して行った取引の成績に応じた報酬です。

この点について、日本市場向けに運営されているFintokeiは、公式FAQで次のように案内しています。

税務関連においては、投資による利益ではなく、データ提供料における報酬として、雑所得でご申告ください。

(出典: Fintokei公式FAQ「獲得報酬の確定申告はどのように申告すれば良いですか?」)

同FAQは併せて「詳細につきましては管轄の税務署や税理士へご相談いただきますようお願いいたします」とも記載しています。つまり業者自身も、雑所得という案内を最終的な税務判断としては示していません。

ここで重要な留保があります。業者がどう説明しているかと、税務上どう評価されるかは、必ずしも一致しません。業者の案内は納税者の申告義務を確定させるものではありません。実際の判断は、契約内容と活動の実態に基づいて行われます。

「口座の利益」と「課税される所得」は別のものです

「プロップファーム 利益 税金」という調べ方をされる方が多いので、ここを分けて書きます。

資金口座の画面に表示されている利益は、そのままでは課税対象になりません。多くの業者ではその口座がシミュレーション環境であり、表示されている数字はあなたの資産ではないためです。課税の対象になるのは、分配を申請して実際に受け取った報酬のほうです。

段階状況税務上の扱い
口座に含み益がある決済していない評価益収入は発生していません
口座に確定した利益がある決済済みだが、まだ分配を申請していない業者側の記録上の数字で、受け取っていません
分配を受け取った業者から入金されたここが収入として認識されます

したがって、年をまたいで口座に利益を残していても、その年の所得にはなりません。逆に、12月中に申請して1月に着金した場合、どちらの年に計上するかは収入の計上時期の問題になります。継続的に取引しているのであれば、着金日ベースで一貫した処理をしておき、通帳や業者のダッシュボードの記録を残しておくのが実務的です。

この点は所得区分の議論より先に押さえておいてください。「口座の利益が○万円を超えたから申告が必要」ではなく、「受け取った報酬が○万円を超えたから申告が必要」です。

なお、業者ごとの契約や口座の性質の違いは資金は本物かシミュレーションかで整理しています。

所得区分: 雑所得か事業所得か

「プロップファーム 税金」で最も影響が大きく、かつ最も誤解されているのがこの論点です。

国税庁が示している判断の枠組み

国税庁のタックスアンサーNo.1500では、雑所得を「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得」と定義しています。つまり雑所得は、他のどれにも当てはまらない場合の区分です。

一方、事業所得はNo.1350で「農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得」と定義されています。

では、どこで分かれるのか。ここについては令和4年10月の法令解釈通達(「所得税基本通達の制定について」の一部改正)が判断の枠組みを示しています。所得税基本通達35-2の考え方は、次の2つの軸で整理できます。

内容
社会通念その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行われているか
帳簿書類の保存その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存があるか

そのうえで通達は、帳簿書類の保存がない場合には業務に係る雑所得に該当することに留意する、としています。ただし例外があり、その所得に係る収入金額が300万円を超え、かつ事業所得と認められる事実がある場合は、帳簿書類の保存がないという事実のみで区分を判定しない扱いになっています。

実務的に読み替えると、次の順序になります。

  1. 帳簿書類を備えて保存しているか。していなければ、原則として業務に係る雑所得の方向に寄る。
  2. 帳簿があるうえで、活動の規模・継続性・営利性が社会通念上「事業」と言える水準にあるか。

つまり、帳簿を付けているだけで事業所得が確定するわけでも、収入が300万円を超えれば自動的に事業所得になるわけでもありません。

区分によって何が変わるか

区分が変わると、次の3点が変わります。金額への影響はここに集中します。

項目雑所得事業所得
他の所得との損益通算できないできる(不動産・事業・譲渡・山林所得が対象)
損失の翌年以後への繰越できない青色申告なら翌年以後3年間
青色申告特別控除使えない最大65万円(複式簿記+e-Taxまたは電子帳簿保存)
青色申告の選択対象外対象(不動産・事業・山林所得のある方)
必要経費計上できる計上できる

損益通算については、国税庁No.2250が明確です。損益通算の対象となるのは不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得の4つで、そのうえで次のように書かれています。

配当所得、給与所得、一時所得および雑所得の金額の計算上損失が生じることはありますが、その損失の金額は他の各種所得の金額から控除することはできません。

したがって、雑所得として申告する場合、チャレンジに失敗して年間トータルがマイナスになっても、給与所得から差し引くことはできません。雑所得内部での相殺は可能ですが、他の所得区分には持ち出せず、翌年に繰り越すこともできません。プロップファームは失敗が構造的に織り込まれたモデルであるため、この非対称性は無視できません。失格までのコストの積み上がり方はプロップファームの隠れたコストで数値化しています。

青色申告特別控除の要件は国税庁No.2070のとおりで、65万円の適用には正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)による記帳と、期限内申告に加えて、電子帳簿保存またはe-Taxによる電子申告が必要です。電子申告等を行わない場合は55万円、簡易な記帳の場合は10万円となります。純損失の繰越は翌年以後3年間です。

ここは決まっていません

上記の枠組みは一般的な所得区分のルールです。プロップファームの報酬がそのどちらに当たるかについて、国税庁が個別に示した公表資料は確認できませんでした。

そのため、次のような主張はいずれも根拠として弱いことになります。

  • 「プロップファームは必ず雑所得である」
  • 「開業届を出せば事業所得になる」
  • 「収入300万円を超えたので事業所得で申告できる」

開業届の提出それ自体が所得区分を決めるものではありません。事業所得として申告する場合は、帳簿の実在と活動の実態が問われます。判断に迷う規模になっているなら、申告前に所轄の税務署または税理士に確認してください。事業として構えるかどうかの整理はプロップファームの利益と法人化・個人事業主で扱っています。

税率と課税方式

雑所得も事業所得も総合課税です。給与所得などと合算した課税所得に、累進税率が適用されます。国税庁No.2260の速算表は次のとおりです。

課税される所得金額税率控除額
1,000円〜1,949,000円5%0円
1,950,000円〜3,299,000円10%97,500円
3,300,000円〜6,949,000円20%427,500円
6,950,000円〜8,999,000円23%636,000円
9,000,000円〜17,999,000円33%1,536,000円
18,000,000円〜39,999,000円40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円

これに加えて、復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)を併せて申告・納付します。さらに住民税(原則10%)が発生します。

国内の店頭FXが申告分離課税で20.315%であるのに対し、総合課税は所得が増えるほど税率が上がります。所得水準によって有利不利が入れ替わる構造です。業者の種類ごとの課税方式の違いはFXの確定申告で整理しています。

申告が必要になる金額のライン

給与所得者の場合

国税庁No.1900は、給与所得者で確定申告が必要な人として、給与を1か所または2か所以上から受けている人のうち「各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人」を挙げています。

注意点が2つあります。

  1. これは所得税の話です。住民税の申告は別に必要になる場合があります。取扱いは自治体によって異なるため、お住まいの市区町村にご確認ください。
  2. 医療費控除やふるさと納税などで確定申告をする場合は、20万円以下の所得も含めて申告することになります。20万円以下だから書かなくてよい、という控除枠ではありません。

給与所得がない場合

給与所得がない方は、所得金額が基礎控除などの各種控除額を超えるかどうかで判断します。

ここで一点、古い情報が広く残っています。基礎控除額は令和7年分から改正され、所得金額に応じた金額に変わりました。国税庁No.1199の表では、令和6年分以前は48万円でしたが、令和7年分・令和8年分は合計所得金額が一定額以下の方について95万円まで引き上げられ、所得が上がるにつれて段階的に縮小する構造になっています。

「48万円を超えたら申告」という説明を載せている記事は多いですが、令和7年分以降はその数字では判断できません。ご自身の年分の金額はNo.1199でご確認ください。

公務員の場合

「プロップファーム 税金 公務員」という調べ方をされる方が多いので、税務の部分だけをここで整理します。

税務上の扱いは、公務員だからといって変わりません。公務員の給与も給与所得ですから、給与所得と退職所得を除く所得の合計が20万円を超えれば所得税の確定申告が必要になるという枠組みは、民間の給与所得者と同じです。所得区分の考え方、経費の考え方、外貨の円換算も同様です。

公務員に固有の論点は2つあります。

1つ目は住民税です。20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。取扱いは自治体によって異なるため、お住まいの市区町村にご確認ください。副業関連の記事では、住民税の徴収方法を普通徴収に切り替えて勤務先に知られないようにする方法が紹介されることがありますが、公務員は給与からの特別徴収が原則で、普通徴収への切替を認めない運用の自治体もあります。当サイトはこの方法を推奨しません。

2つ目は、そもそも参加できるのかという兼業規定の問題です。これは税務とは別の物差しで、国家公務員法第103条・第104条、地方公務員法第38条の適用の問題になります。重要なのは、所得税法上どの区分で申告するかによって兼業規定の該当性が決まるわけではないという点です。「雑所得だから兼業に当たらない」という説明は条文からは導けません。

兼業規定については公務員はプロップファームに参加できるのかで条文に沿って整理しています。申告義務と兼業の許可は別の手続きですので、順序としては所属庁への照会を先に済ませてください。

必要経費として考えられるもの

一般ルール

国税庁No.2210は、必要経費に算入できる金額として次の2つを挙げています。

  • 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
  • その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

家事上の費用と業務上の費用が混在する支出(家事関連費)については、取引の記録などに基づいて業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合の、その区分できる金額に限られます。按分は「だいたい半分」では足りず、区分の根拠が求められるということです。

プロップファーム特有の支出

上記の一般ルールに当てはめると、次のように整理できます。確度の欄は、一般ルールからの読み取りやすさを示したもので、税務署の判断を保証するものではありません。

支出考え方留意点
チャレンジ費用(合格した分)報酬を得るために直接要した費用に当たると読みやすい領収書・決済明細を保管
チャレンジ費用(不合格の分)収入を得る目的で支出した費用と整理する余地がある公表された取扱いは確認できず。後述
リセット費用・再挑戦費用同上回数が多いと事業性・必要性の説明を求められ得る
マーケットデータ料・チャート購読料業務上の費用に当たると読みやすい取引に使用している事実を残す
取引プラットフォーム利用料・VPS同上取引専用であれば全額、兼用なら按分
PC・モニター・スマートフォン家事関連費として業務使用分を按分区分の根拠(使用時間・用途の記録)が必要
通信費(回線・モバイル)同上同上
書籍・有料情報サービス業務上の費用に当たると読みやすい内容と取引の関連を説明できるように
海外送金手数料・受取手数料報酬の受取に要した費用送金明細を保管
税理士報酬業務上の費用申告に係る部分

なお、雑所得のうち業務に係るもの、および事業所得では、いずれも必要経費を差し引いて所得金額を計算します。経費計上は事業所得だけの特権ではありません。

決まっていない部分

チャレンジ費用について、次の点は公表された取扱いを確認できませんでした。

  • 不合格になったチャレンジの費用が、全額必要経費として認められるか
  • 同一年に複数回・複数社のチャレンジを購入した場合に、収入と対応しない分まで認められるか
  • リセット費用が、報酬を得るために直接要した費用として扱われるか

いずれも「収入を得るために支出した費用」という一般ルールからは経費計上を主張する余地がありますが、国税庁がプロップファームのチャレンジ費用について個別に示した見解は見当たりません。金額が大きい場合、あるいは収入がゼロの年に費用だけが立つ場合は、申告前に所轄の税務署または税理士にご確認ください。

PC・通信費の按分割合についても、合理的とされる水準を示した公表基準はありません。使用実態を記録し、説明できる根拠を残しておくことが実務上の防御になります。

外貨で受け取った報酬の円換算

報酬を米ドル等で受け取る場合、円換算が必要です。

所得税法第57条の3の外貨建取引の換算に関する所得税基本通達では、原則として取引日における電信売買相場の仲値(TTM)によることとされています。そのうえで、継続適用を条件に、収入や資産については電信買相場(TTB)、費用や負債については電信売相場(TTS)によることも認められる整理になっています。

実務上のポイントは3つです。

  1. どの方法を採るかを決め、年をまたいで継続適用する。都合のよい年だけ変えることはしない。
  2. 受取ごとに、日付と適用したレート、換算後の円貨額を記録する。
  3. 参照した相場の出所(取引金融機関の公表相場など)を揃えておく。

暗号資産で報酬を受け取る場合は、受取時点の評価額の把握という別の論点が加わります。暗号資産での支払いに対応する業者は暗号資産対応のプロップファームで扱っています。

法人契約・法人口座で報酬を受け取る場合

法人を設立し、報酬を法人の収益として扱いたいという相談は多い領域です。ここは切り分けが必要です。

「法人契約」と「法人口座での受取」は別の話です

まず用語を分けます。この2つを混同したまま設計すると、あとで所得の帰属が問題になります。

法人契約法人口座での受取
意味業者との契約主体そのものを法人にする契約主体は個人のまま、振込先だけ法人口座を指定する
業者側の対応当サイトが確認した範囲では、FTMO・The5%ers・Topstep・Fintokei のいずれも公式サイトで法人名義の登録可否を明示していません業者によっては受取先の指定に柔軟性がある場合があります
税務上の帰属法人の収益として整理しやすい構成です受取名義だけでは帰属は移りません(後述)

業者ごとの対応状況はプロップファームの利益と法人化・個人事業主で整理しています。法人での運用を前提にするなら、契約時点で法人名義の登録が可能かを業者サポートに確認し、回答を記録に残してください。ここが個人名義のままだと、以下の帰属の論点がそのまま残ります。

3つの層に分けて考える

論点
契約主体業者と契約しているのは個人か法人か。業者が法人名義の登録を受け付けるか
受取名義報酬の振込先として法人口座を指定できるか
税務上の帰属その報酬が、個人の所得か法人の収益か

この3つは別の問題です。特に、受取名義を法人口座にできたとしても、それによって税務上の帰属が自動的に法人に移るわけではありません。

決まっていない部分

業者との契約主体が個人のままで、報酬の振込先だけを法人口座に指定した場合、その報酬を法人の売上として計上できるかについて、公表された取扱いは確認できませんでした。

契約主体と受取名義がずれる構成は、所得の帰属という観点で論点になり得ます。法人での受取を前提に設計を始める前に、税理士に確認しておくことをおすすめします。業者側の法人対応状況はプロップファームの利益と法人化・個人事業主で整理しています。

消費税は考える必要があるか

事業として一定規模になってくると出てくる論点です。ここは3段階で考えます。

段階1: そもそも課税の対象になるか

消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等です。プロップファームの報酬が、役務の提供の対価として対価性を備えたものと評価されるのか、それとも対価性を欠くものと評価されるのかによって、入口が変わります。

段階2: 国内取引かどうか

国税庁No.6210は、役務の提供について次のように整理しています。

役務の提供の場合は、一定の取引についての例外はありますが、原則として、その役務の提供が行われた場所で、国内取引かどうかを判定します。

日本国内で取引を行っているのであれば役務提供地は国内と見る整理があり得ますが、相手方が国外の事業者であることをどう評価するかという論点が残ります。

段階3: 免税・納税義務の免除

仮に国内における課税資産の譲渡等に当たるとしても、次の2つのフィルターがあります。

  • 輸出免税: 国税庁No.6551は、非居住者に対する役務の提供を免税となる輸出取引等として挙げています。ただし、国内に所在する資産に係る運送や保管、国内における飲食や宿泊など、当該非居住者が国内において直接便益を享受するものは除かれます。
  • 事業者免税点制度: 国税庁No.6501によると、課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合には、原則として納税義務が免除されます。ただし適格請求書発行事業者の登録を受けている場合、納税義務は免除されません。

決まっていない部分

プロップファームの報酬について、消費税の対価性の有無および内外判定をどう扱うかを示した公表資料は確認できませんでした。上記は一般的な条文・タックスアンサーの構造の説明であり、プロップファームの報酬に当てはめた結論ではありません。

インボイス登録を検討している場合、登録すると基準期間の課税売上高にかかわらず納税義務が生じます。登録の判断は消費税の取扱いの整理と併せて、税理士にご確認ください。

確定申告の実務

いつ

対象期間は1月1日から12月31日までです。申告と納付の期限は、原則として翌年の2月16日から3月15日までです。期限や振替納税日は年によって前後するため、その年分の国税庁の案内をご確認ください。

何を、どの区分で

雑所得として申告する場合、確定申告書の第一表・第二表の雑所得の欄に記載します。第二表には所得の種類・種目、支払者の名称・所在地、収入金額を記載する欄があります。海外業者の場合も、業者名と所在地を記載します。

事業所得として申告する場合は、青色申告決算書または収支内訳書を作成して添付します。

記帳と書類の保存義務

ここは収入規模で扱いが変わる部分です。国税庁No.1500および記帳・帳簿等の保存に関する案内によると、業務に係る雑所得については前々年分の収入金額を基準に次の整理になります。

前々年分の収入金額求められること
300万円以下現金主義の特例を選択できる(確定申告書への記載が必要)
300万円超現金預金取引等関係書類の保存が必要
1,000万円超確定申告書に収支内訳書の添付が必要

事業所得として申告する場合は、事業を行う方に記帳と帳簿書類の保存義務があり、帳簿は原則7年、その他の書類は5年の保存が必要とされています。保存年数は書類の種類によって異なるため、詳細は国税庁の記帳・帳簿等の保存の案内をご確認ください。

支払調書が出ない場合の記録の残し方

海外のプロップファームから、日本の支払調書が交付されることは通常期待できません。国内の支払者に課される法定調書の提出義務は、国外の事業者には及ばないのが一般的です。

書類が来ないことは、申告しなくてよいことを意味しません。意味するのは、記録を残す負担が全部こちら側に来るということです。報酬ごとに、次を記録してください。

記録項目具体例
受取日業者の承認日と着金日の両方
業者名・所在地第二表の支払者欄にそのまま書ける形で
外貨での金額通貨単位と原貨額
適用レートと出所TTM等、参照した相場の出所を明記
円換算後の金額申告に使う金額
受取経路銀行送金、暗号資産、送金サービス等
手数料送金手数料・受取手数料

加えて、次の一次資料を保管します。

  • 業者管理画面の報酬履歴・取引履歴のエクスポート(画面は改廃されるため、都度保存する)
  • チャレンジ購入・リセットの決済明細とレシート
  • 着金が確認できる通帳・取引明細
  • 経費の領収書、按分の根拠となる記録

なお、Fintokeiの公式FAQは取引履歴の提出について「原則として取引履歴の提出は必要ございません。お手続きに必要な資料としては、プランのご購入や報酬支払いに関する記録をご利用ください」と案内しています。業者から取得できる資料には限りがあるため、自分側で月次にまとめる運用にしておくのが現実的です。

業者の支払い記録の開示姿勢は、年末の集計コストに直結します。この観点はプロップファームの支払い透明性で扱っています。

国外送金は把握されている

国外送金等調書の制度があります。国税庁の案内によると、金融機関等を通じて行う国外への送金または国外からの送金等の受領で、金額が100万円を超えるものについて、金融機関が国外送金等調書を税務署に提出することとされています。

つまり「海外の業者だから把握されない」という前提は成り立ちません。送金サービスを経由する場合も同様に考えてください。

決まっていないことの一覧

本記事で、公表された取扱いを確認できなかった点をまとめます。ここに挙げた項目について断定的な結論を示している情報を見かけたら、その根拠が何かを確認することをおすすめします。

論点状況
プロップファームの報酬の所得区分一般的な区分基準は通達にあるが、プロップファームの報酬への当てはめを示した国税庁の公表資料は確認できず
不合格チャレンジ費用・リセット費用の経費性一般ルールから主張の余地はあるが、公表された取扱いは確認できず
PC・通信費等の按分割合の合理的水準明示された基準は確認できず
個人契約のまま法人口座で受け取った報酬の帰属公表された取扱いは確認できず
消費税の対価性と内外判定の当てはめ公表された取扱いは確認できず
業者の案内(雑所得)と税務上の評価の一致業者の案内は納税者の申告義務を確定させるものではない

本記事の位置づけ

本記事は、国税庁の一次情報をもとにした一般的な情報の整理です。税務上の助言ではありません。

  • 所得区分・経費の可否・法人化の判断は、個々の事実関係に大きく左右されます
  • 税制・通達・国税庁の運用は変更されます。基礎控除の改正のように、数字が変わる項目もあります
  • 本記事を税務判断の根拠としないでください。必ず所轄の税務署または税理士にご相談ください

本ページは国税庁の公表内容の変更に合わせて更新します。引用される場合は、出典として本ページ(PROP NAVI)へのリンクをお願いします。

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